途端、目の前にいた青鳥が消えた。
……というか、近くの大木の枝に飛び乗っていた。
一瞬の事だったから追えなかったけど、あれくらいの瞬発能力なら大丈夫かな?
青鳥を追うつもりでジャンプする。
彼女の目の前に降り、すぐさまポケットからカッターナイフを取りだしその白い首筋に突き付けた。
筈だった。
「…な、」
流石に驚いたよ。
突き付けたはずの刃が弾かれ、更に粉々に粉砕されてしまったんだから。
肝心の首には傷一つ付いていない。
おいおい、どれだけ合金使用の喉なんですか?
一瞬の隙をつかれて胴体を真っ二つにされる。
何もなかった空間から突然、切れ味抜群の刃物が造り出された。
私を切った【それ】は目に見えないなにかのようで、存在を確認出来ない。
てか、斬られたのに何事も無かったかのようにナレーションしてるって。
実際は切られてないし、ピンピンしてるよ。
相手も気が付いたようで周囲を見渡すような動きをしている。
とはいえ、今さら周りを確認したって…
「遅いよ」
どこからともなく聞こえてきた私の声に戸惑う青鳥。
その頭上から巨大な鶴嘴を降り下ろす。
流石に脳天は弱かったのか、皮を貫き頭蓋骨を砕き、中身を潰した感覚がした。