「な、なぁ…っ!」
その時だった。
急に大声がしたと思ったら、さっきまで集団に囲まれていた転校生が、輪を抜けて私達の方へと駆け寄ってきた。
ん、違った。
正確には私の元へ。
「ねぇ、キミ!」
『ふ、ふぇ…?』
な、何でしょうか。
腕を掴まれて、反射的に顔を上げる。
『わ…っ!』
整った顔が私をじっと見つめてきて、驚いて変な声が漏れてしまった。
こ、これはいくら何でも…。
目の前の転校生の顔は間近で見ると、もっと綺麗で。
こんな人が世の中にいるなんて、あり得ないと思った。
事実、目の前にいるんだけどね…。
思わずじっと伊波に見入っていると、
「……っ!?ま、じ……?」
え……?
仁香達が伊波の登場に、キャーキャーと声を上げて騒いでいるなか、転校生、伊波琉希の表情が破顔した。