「あははっ!照れてやんの!」
「な…っ!?て、照れてないから…!!」
お腹を抱えて笑う仁香を、神崎は顔を熱く火照らせながら鋭い眼光で睨み付ける。
「あー怖い怖い」
それを軽くあしらう仁香。
「でもよかったじゃーん!モテモテの藍澤凜ちゃんに格好いいって言われてさー」
ニヤニヤ。
仁香は嫌らしいほど満面の笑み。
「あのなぁ……!!」
神崎は今にも仁香に噛みつきそうだ。
モテモテじゃないんですけどね…。
二人の会話を聞きながら、一人溜息を吐く。
そりゃあ…モテないよりモテる方がいいんだけどさ。
現実は私が一番よくわかってるんで。
実際、高校に入学してから彼氏どころか告白すらされてない私。
その時点で、自分が異性に恋愛対象として見られていないのは、重々承知している。
それなのに、仁香ったら……。
わかりやすい嘘まで付いて、気を使わなくたっていいのに。