「私の過去なんだけどね……―――。」





私には、7歳離れた姉が居た。
涛山紗柚南(なみやま)。
私の旧姓だ。

紗柚南ちゃんは、強くて、優しくて、綺麗で、頭も良かった。
自慢の姉だった。
両親が亡くなった時も、人前じゃ泣いて居なかった。


おじさんに引き取られて暫くは、おじさんにも、煌にもなつかなかった。

だって、怖かったから。
慣れない人に、場所、匂い、そして、自分が変わる事に。子供ながらに思った。


「沙亜羅?大丈夫だから?ねっ?」


いつも、紗柚南ちゃんの後ろに隠れてた。