「……いいよ、無理して話合わせなくて。まぁそう言われても仕方ないと思うし。でも、客とは同意の上だし、俺の事求めてくれる人がいるなら、俺は出来る限り助けたいと思うから」

「………………」

「そっか」

「……イモ子は、バイトとかしてないの?」

「したいんだけど、学校の課題が多いから、なかなか……」


その後、二人はずっと無言で、イモ子はスケッチに鉛筆を走らせていた。




「ゆき!」

「…………………」

教室でうたた寝していたイモ子に、学校の友達の紗耶香が話しかけてきた。

「おーい、ゆき?」

「……ユキ………………あ、私か」

「?何言ってんの」

寝ぼけていたとはいえ、自分の名前に反応できないイモ子に、紗耶香は首をかしげた。

「あ、ごめん。なに?」

「人物画のデッサンの宿題できたー?私まだでさあ」

「私もまだ完成してないよ」

イモ子は自分のスケッチを開いてみた。

「え?何この子?めっちゃ美形じゃん!」