「ごめんなさい、ごめんなさい!ヒッ…ク」


「泣けばいいと思ってんじゃねぇよ!」


泣きじゃくる女の胸倉をつかみ、ボソボソ耳元で言っている。


「衣麻はそこなんだな?」


女はウンウンと首を立てに振る。


小波て言う奴はその泣きじゃくる女に電話をかけさせていた。


かけ終わった後、携帯電話を思い切り踏んづけ壊した。


「余計な事すんなよ…」


小波って奴は手を払い、俺を引っ張った。


「何してんだ?!衣麻の彼氏なら守ってやれよッ!!!」


怒鳴られて気付いた。


「す、すいません…」


「衣麻の幼馴染の小波、さっき変なん見してごめんな?」


小波でいいから何て言われたけど、呼べるはずもなくて…


「小波さんありがとう…、俺こんなん初めてで…」


走りながらの会話はキツい。


「慣れてたらこえ~わ!」


笑いかけてくれた、そのおかげで少し落ち着いた。


30分くらい休まず走ってやっとついた。


「衣麻ーっ!!!!」