「あ、衣麻~先帰ってんね~」


「え~?」


「彼氏待ってんの、分かるでしょ?」


そうやって真剣な目で言われると…


「…うん」


って、頷くしかないでしょ~!


はぁ、一人かぁ。


夏は苦手だよ~、力でない…。


ワイシャツのボタンを一つ戻す。


龍平はそういう格好を外でするのを好まないから…。


「衣麻も髪まとめよ…」


一人、うっすら明るく光があたる教室でボーッとしながら髪をまとめた。


「さぁ、帰ろう」


軽いカバンを肩にかけて、ゆっくり歩き出す。


下駄箱で靴を履き替え衣麻は学校を後にした。