「いやああああああっ!!!」


 露出度の高い服を着た女性は、口元に手を当て、ショックのあまりに耳をつんざくような悲鳴をあげた。


「あっ、おい?!」


 他の人達の言葉も聞かぬまま、彼女は廊下の先の方へと走り出してしまった。

 追い掛けようとする筋肉質な男を引き止めたのは、今まで一言も喋らなかった無口な男だ。


「放っておけ」

「しかしだな……」

「止める義理が無い」


 ……まぁ、確かに俺達は初対面で、お互いの名前も知らないけれど、そこまで冷たいのは人間としてどうかと思うのだが……。


「こんなに長い廊下なんだ。このままずっと一直線なら、いずれ会うだろ」

「うーむ」


 引き返して部屋に戻るわけにも、このままずっと止まっているわけにもいかなかったので、やがて俺達は先へと歩きだした。

 無口な男が言っていた通り、このまま一直線ならば……走り出してしまった女性ともいずれは再開できるかな。

 先に何があるのか分からないのだから、無事だといいのだけれど……。