「おい、蓮の奴、遅くねぇか?」
永倉がキョロキョロとあたりを見渡す
「厠って言ってたよな?」
そういう藤堂も永倉も確認しに行きたいのだろうができなかった
華蓮は女であるから
「……もしや!!」
しばらく俯いていた斎藤が急に顔をしかめ、部屋を飛び出した
「ちょっと、おい、斎藤!!」
後を追おうとする二人を、斎藤は手で制した
──ガラガラ、ピシャン
「思った通りだ、湊上の刀も履き物もない
おそらく………」
誰もが華蓮は暗殺現場へ向かったと予測した
「それはいけない……今すぐ連れ戻さなくては」
近藤は右手を顎に当てた
「俺が行きます」
斎藤はそれを捨て台詞に出て行こうとする
「待てよ、俺も行くっ!!」
「平助、計画をできるだけ変えない方がいいだろう
何かあったらすぐ動けるように待機していてくれ
局長、よろしいでしょうか」
追うのが華蓮だとわかっていれば複数より、一人の方が自分の考えで動きやすい
それに斎藤は頭も腕もキレる
「わかった、斎藤君、頼んだぞ」
「はい、では、失礼します」
斎藤は全速力で華蓮を追いかけた