「冷静沈着で、どこか冷めた雰囲気を持ちながら、中に熱い想いを秘めておる
そして、あやつは壬生浪士組のためなら鬼にでもなる覚悟だろう
儂とは違うやり方でな」
その言葉と共に笑う芹沢はどこか嬉しそうで、でも寂しそうだった
たぶん、例えるなら息子や弟子が手元を離れて行くような─────
そんな気持ちなのではないだろうか
「芹沢さん………」
みんな───みんな不器用だ
仲間を、居場所を守るために自分なりの方法でやれる限りやる
心底もどかしく感じた
「心配することなどない
儂はもうとっくに覚悟できておる」
「芹沢はん……………………」
「すまんな、お梅
これが儂の行く道だ」
もしかしたら、お梅も薄々気づいていたのかもしれない
芹沢を見つめる瞳からは、同情でも困惑でも不安でもなく、愛情に満ちた覚悟のように見えたからだ
華蓮は溢れそうになる想いと涙を必死でこらえた
話は終わり、華蓮は部屋を後にする
芹沢は極悪卑劣なんかではない
彼は彼なりに守ろうとしていたのだ
だから、せめてお梅だけでも芹沢の暗殺には巻き込みたくない
そっと握り拳を作った
────華蓮は芹沢暗殺があんなに悲しいことになるとは思わなかった