部屋の揺れは更に激しさを増し、耐えきれなくなった一畳分ほどの天井が落下した。


それはまるでスローモーションのようだった。


落ちた天井は担任だった先生の頭上へと迫っていた。


先生は上を見上げている。


頭では天井が落ちてくる事を理解したのだろう、先生の手が咄嗟に空中へと延びた。


その手に引かれるようにして体が傾く。


だけど、足が最後までその場に残っていた。


焦る気持ちに足だけついて行かないようだ。


足が動かなければその場から移動することはできない。


なんて不便な人間の体。


それゆえ、天井が先生の頭に到着してしまった。


メキッ……と、嫌な音が会場内に響く。


なぜかその時だけ騒音もなにも聞こえず、ただ先生が砕けていく音だけがあたしの耳に届いていた。