神田君に話しかけている彼女の表情は、昔と全く同じに見えた。


小学校の幼い恋がここにきて再熱しているのかもしれない。


あたしはぼんやりと2人の様子を見下ろしていた。


彼女に話しかけられて、神田君もまんざらではないようにほほ笑んでいる。


その頬はほんのりと赤く染まっていて、明らかに彼女の存在を意識しているのがわかった。


まさか……。


あたしはふと考えた。


神田君も彼女の事が好きだったんじゃないだろうか?


そんなそぶりを見せたことは一度もないけれど、誰にでも優しい神田君なら彼女にも自然と優しくできていたことだろう。


2人は元々両想いだと考えれば、彼女や、彼女と一緒にいるあたしに神田君が近づいて来ていた意味が通じる。