そうだ。


その間に記憶が飛んだような気がしたんだっけ、あれは一体なんだったんだろう?


「みあお姉ちゃん、どうかした?」


ずっと黙っているあたしに睦人が聞いてくる。


(……ちょっと不思議なことがあって)


「不思議な事?」


(そう。確かにあたし、睦人の言う通り悪い考えをしていたわ。ついさっきまでね。


それなのに、急にすがすがしい気分になっているの。どうしてだと思う?)


こんなことを子供に言ったって、どうしようもないかもしれない。


でも、今あたしが会話できて相談できる相手は睦人しかいないのだ。


世界には他にも霊を会話できる人がいるのかもしれないが、今は睦人1人だけだ。


「あぁ。それはね、みあお姉ちゃんが恨んだ人たちが、全員死んだからだよ。


だから美亜お姉ちゃんは今スッキリしているんだよ」


それは先ほどまでと何も変わらない口調だった。