あたしと睦人君の食べ物の趣味が偶然にも一致して、余計に楽しくなるあたし。


口の中に生前よく食べていたノコギリの山の味が広がった、その時だった。


「みあお姉ちゃんって性格も変だね」


と、睦人君が言い声をあげて笑ったのだ。


その笑い声にさすがのあたしもムッとした。


バカにされているのだと一瞬にして理解できた。


(どうしてそんな事を言うの?)


少し怒った口調でそう言う。


「だって、死んだ他の人たちは僕とこんな会話をしないから……。みあお姉ちゃん、怒った?」


睦人君は心配そうな声でそう聞いてくる。


あ、そっか。


それもそうかもしれない。


お互いに好きな食べ物を言い合ったって、意味がない。


そう気づいたあたしは軽く咳払いをして、仕切り直すことにした。