部活を終えて、校門で先輩を待つ。

先輩に会えるのが嬉しくて、待っているこの時間も楽しい。

「まどか、お待たせ」

その言葉に反応して、まどかは満面の笑みで顔をあげ、一瞬で顔がひきつった。

「そんな露骨に嫌そうな顔するなよ、傷つくだろ」

透馬がそんな事ぐらいで、傷つくわけがない。

コイツはどうして、ちょこちょこ現れるんだ・・・・。

「ちょっと、やめてよね」

思い切り顔をそむける。

先輩を待っていた幸せな気分が、一瞬でしぼむ。

「お待たせ、まどか」

今度こそ先輩の声だ。

自然と笑みも浮かんで、声のした方を見る。

けど・・・・まどかの顔は再びひきつり、なんとか作り笑いを浮かべた。

「お待たせしちゃって、ごめんね」

先輩の横には、昼間見た女の子がいた。

誰?どうして?何話してたの?

頭の中で、たくさんの疑問が入り乱れる。

「いえ~」

なんとか悟られないように、なんでもない風を装って応える。

「おつかれっす~、香織先輩」

透馬がその香織先輩に向かって言った。

初めて、自分の近くに透馬がいてくれてよかったと思った。

香織先輩はチラリとまどかを見て、視線を先輩へと移す。

「じゃあ、私いくね。また明日ね、聖司」

香織先輩は小さく手を振りそう言い残すと、友達のいる方へ走って行った。

聖司って・・・・呼び捨て!?

頭の中がグルグルする。