菊哉はボリュームを下げて言った。

菊「何でいるんだよ。」

琴「何でって…。これを。」

私はポケットにあった白龍のネックレスを取り出した。

琴「これを返しに来たの。」

菊「え…返すってことは…。」

菊哉も知っているはず。

琴「ええ。辞めるんだよ。」

菊哉は動きを止めた。

私は無理やり菊哉の手に、ネックレスを握らせた。

菊「いらねぇよ。」

私は首を振った。

琴「私の方がいらない。

だから、一樹に渡して。」

菊哉は口を開かなくなった。

言わないといけないことが、あとひとつある。

私は決心して、口を開いた。




琴「あとね…。

私、婚約者ができたから…菊哉…別れてください。」

これは真っ赤な嘘。

海やお母さんに聞けば、すぐにバレる。