私の背中に顔を埋める皇汰が泣いているかのように、弱々しくて。

なんだか、無償に殴りたくなる。


シャラン……


笛の音が響き渡り、厳かに葵が入ってきた。

葵は花に気づかず、踏んだ瞬間に花びらが舞う。


シャラン……

葵は鬼のような面を被り、堂々と入って来て、真ん中でゆっくりと両手をまっすぐ横に伸ばす。


シャラン…


鈴が風に揺られて微かに鳴る。


威嚇的な鬼のような面をつけ勇壮に踊る。


剣舞のような激しい動きを、鈴の音が優しく調和していく。


後ろの方から子どもの泣き声がした。

迫力ある葵の舞に怖がったんだろう。


金色に輝く袖が、空を舞う。


蹴りあげると月に袖が届く。




「離して」