…なんだろう、記憶には無い。全くもって可笑しいくらいに完全に無いんだけど…いやはや何故だろう、簡単にその光景が想像がつく…ついてしまう…
「…すみれさん?」
「…穴があったら入りたい…」
「ははっ、言っておくけどもっと恥ずかしい事やってるし言ってるよ?」
「へ⁈ 」
「すみれさんの事は全部知ってると思う。どんな事をどうやって受け止めていくのか。どうやって言葉にして、態度にして、発散していくのか。何をどう思ってここまで生きて来たのか、すみれさんは自分の事全部教えてくれたから」
「う…嘘だ、嘘だ。流石に嘘でしょ?」
「すみれさんって服飾系の大学出てるんだよね?」
「!、なっ、」
「デザイナー志望だったけど挫折して今、ショップの店長をしてるんだよね?」
「っ‼︎ 」
ヒヤリとした。思わず固まってしまった。だってそれは、それは完全に拓也君に言った記憶の無い情報…どんな大学出たって話もその時持ってた夢の話も、ましてや今店長任されちゃってるって話もどれもしてないはず!だって恥ずかしかったから!
「…ね?全部すみれさんが教えてくれたんだよ?」