「なんだ…翔琉。驚かさないでよ…」


声の主は翔琉だった。

私がそのまま作業に戻ると
無言で私の目の前に立った



「…なに、どしたの?」



「送るよ。その格好じゃ今にも倒れそう」


そう言ってバスタオルを1枚
私の頭に被せた


「大丈夫だよこれくらいなら…」


「だめー。送るから。」


やんわり断ろうとしても
なかなか引き下がらない翔琉

私は仕方なく送ってもらう事にした



あいも変わらず降り注ぐ雨の中を
傘が二つ

そこに会話は無く
…気まずい空気だけがそこにはあった


“ピロリーン♪”


その空気を壊すように私の携帯が鳴った


「電話…誰だろ」


「とりあえず出なくていいの?」


翔琉の言葉で
私は急いで携帯を確認

ディスプレイに表示された名前に
私は顔を顰めた


「…もしもし」