時計を見る
時間は午後9時



「…今日は少し寒いかな」



なんて小さく呟くと
私は静かに家を出た



“コツッ…コツッ…”



ヒールの音が
静かな道に響く



しばらく歩くと
週末のまだ賑やかな街に出た


私はいつも向かうBARに向かう



「いらっしゃい。ユエ。」



ドアを開けるとすぐに
カウンターの向こうの男が
こちらに笑顔を向けた


夜の私の名前はユエ。

結映‥‥読み方を変えてユエ。



「タク。久しぶり。」


少し微笑んでそう返すと
“こっち座って”と手招きをされた