手放さなくて良かった…。
私はずっと傍にいるよ…。


そう伝えたいのに
出てくるのは嗚咽ばかりで。


そんな私の背中を優しくさする翔琉
君は一人でどれだけ辛い思いをしたのだろう


「でもな…俺、結局手放せなかった。だから外出許可が出た日、屋上にメッセージ書いた」



あのメッセージ
やっぱり 翔琉の書いたものだったんだ…



「…待っててくれるか、分かんなかったけど…結映を迎えに行くために…必死に治療したんだ。」




「…っ…」




「結映は今日まで…俺を信じて待っててくれた?」



切なげに眉毛を下げて顔を覗き込む翔琉


…嗚呼、私は

こんなにも愛しい人が居たんだ。



「待ってるに決まってるじゃない…っ!…ずっと…ずっと待ってたよ…ッ」



「…うん。ありがとな…」