案の定、佐野くんは来なかった。
そしてこの日、私は衝撃的なことを知ることになる。
時計は午後四時をさしていた。
どんどん人が居なくなる教室。
「帰ろ、楓」
「うん」
私が楓と帰ろうとしたそのとき
「やっぱり来なかった…か」
ポツリ真田くんが呟く。
「やっぱりって…知ってたんじゃないの?」
千里が真田くんに振り返る。
私も振り返って真田くんを見た。
「ん?だから予想っつーかなんつーか…」
「随分な特殊能力ね。
じゃあその理由をお聞かせ願えます?」
千里は真田くんの方へ歩いていき、自分の席に座った。
私も歩き出す。
「…彼女」
真田くんが言う。
「言ったろ、厄介な彼女がいるって…」