「前にさ陽介にオススメされた店があってさ〜」
二人で狭い路地を歩いた。
人は…やはり少ない。
真田くんが?
「真田くん…意外だなぁ」
私がクスクス笑うと佐野くんは首を傾げた。
「意外?なんで?」
「真田くんって無口そうだし
そういうの疎そうだから」
「そういうことね」
佐野くんは笑った。
「シャイで人見知りなだけだよ。
本当はもっと喋る奴だよ」
佐野くんがそう言った。
…
あれ…
いきなり視界がクラっとした。
やばい。さっきの人身事故の気持ち悪さがぶり返してきた。
うっ…
急な吐き気に襲われて私は立ち止まった。
「佐倉?」
佐野くんが振り返る。
「佐倉?どうかした?」
「ご、ごめん…少し…気分悪くて…」
すると
「えっ!?」
佐野くんは心配そうに近づいてきた。
「ごめん…大丈夫…」
「…」
私たちは近くのベンチに座る。