「それ何回も聞いた」
上を向いていつも楽しそうに語る私に言うのは幼なじみ坂下雄大。
雄大は隣のクラスで廊下で話したりする。
そのときちょうど佐野くんが教室から出てきた。
「おー雄大」
「よ」
たった一言の挨拶。それ以上は何もない。
そんな仲が羨ましい。
雄大は佐野くんとよく話す仲になっていた。
佐野くんが歩き出す。
そして雄大は私に目線を戻す。
「お前さ佐野佐野っていいけど
テスト大丈夫なの?」
う…
そうだ、テストがあるんだ。
あー。佐野くんが....
「“佐野くんが教えてくれたらなー”
なんて言ってる場合じゃないと思うけど」
....。
「うるさいな!!!」
雄大はハハッと笑った。
「まあいいや。雄大んち行こー」
雄大もそこそこ頭いいし。
そして何と言っても雄大のうちと私のうちは近い。
放課後雄大んちに行くことなど普通だった。
「はいはい」
これは小学校から続いている。