「楓、降りるよ」
少しして、雄大に声をかけられた。
駅を出ると、自然が広がっていた。
「ここどこ?」
「少し歩くと中心街に行けるから」
そう言って雄大は歩き出した。
田舎のようだ。
今は山や畑、田んぼしかないけど………
私がキョロキョロしていると…
「楓って………そういう格好すんだ…」
「えっ」
私の少し前を歩く雄大の顔は見えない。
「意外だなって」
「あっ、ごめんやっぱり変……」
私が言いかけたそのとき
「似合ってるって言ってんの!」
雄大が振り返ってそう言った。
えーーっ!!
嬉しすぎる……
気づいてないと思ってたのに。
がんばってよかった…
「ありがとっ」
私は嬉しすぎて雄大の隣へ走った。
「ちょ、調子にのんなよな!」
「ん〜?なに〜?」
楽しく歩いていると、気づかないうちに建物が増えてきた。
人や車も多くなってきた。
中心街はすぐそこだった。