「楓は?いたの?」
私が聞くと佐野くんは首を横に振った。
「いなかったよ」
ふーん…屋上にいると思うんだけど…
この感じだと屋上行ってないな佐野くん…………
まあいいや。
あの二人の邪魔はさせない。
ごめんね佐野くん。
「てか有沢は何してんの?
陽介といたんじゃ…」
佐野くんが中庭の方向を見る。
「あー。うん…
気分転換…かな」
「え?
陽介1人でいんの?」
佐野くんが中庭へ行こうとする。
「ダメ!!」
必死で止めようとして声が大きくなってしまった。
「なんでよ?」
「なんか…女の子といるから…」
私がそう言った瞬間、佐野くんはため息をついた。
「………陽介も恋とかすんのかなー」
「親友のクセに何も知らないのね」
「んー。
俺ばっかり話すからなー…
陽介は自分の事あんまり話さないんだよ」
「そうなんだ」
まあそんな感じするわね…
そしてしばらく沈黙が続いた。
「もー俺らで見ようか、花火」
佐野くんは苦笑していた。
「そうね」
私も笑った。
そして二人で花火を見始めた。