千里side
「中庭人少な…」
私たちは花火を見るのに中庭を選んだ。
「人少ないのがいいって言ったの誰だよ」
と、陽介が言う。
佐野くんはというと…
「あいつは見つけたのかね」
そう、佐野くんは楓を一人で探しに行ってしまった。
だから今は私と陽介の二人きり。
「恋愛にあんな必死な龍輝は初めてだな…」
「そうなの?」
「葵の時もなんかすんなりくっついたし」
花火の光が陽介の横顔を照らす。
「陽介は?好きな人…」
私はふと、気になって聞いてみた。
まあ流されるんだろうけど。
すると…
「……別に………………」
ん?
!!
暗闇の中、花火の光で一瞬見えた陽介は腕で顔を隠していた。
「ん?」
私は顔を覗く。
そして、また一瞬見えた陽介は…
「……」
赤面していた。
うそ!?