「楓ー」
気付けば放課後。
私のクラスに雄大が呼びにきた。
「じゃ、がんばってね楓♪」
「千里ったら…」
はーい、と返事をし雄大の所へ駆け寄った。
「行こ。今日は猛特訓だ」
「ええーまたー?」
ああほら。
もうドキドキしてる。
私って。
こんなにわかりやすかったのね。
雄大と下駄箱まで行く道のりでさえ、緊張して仕方なかった。
下駄箱まできたそのとき。
「楓、」
呼ばれて雄大を見ると外を指さしていた。
え?
そう思って見るとー。
「佐野…いるけど?」
外には佐野くんが歩いていた。
なにを言って…
「今日は勉強じゃない…」
「や…諦めるとか言ってたけど…
そんな簡単じゃないの知ってるから…」
もう、終わったんだよ?佐野くんは。
それに。
なんで知ってるなんて言うの。
恋なんてしたことないくせに。
私はそう言われて佐野くんをチラっと見た。
相変わらずかっこいいけど、
爽やかで、
人目を引くけど、
私が今見惚れてるのは。
私が今一緒にいたいのは。
「…雄大なのに…」