花火が終わる頃、人はだいぶ減っていた。
「歩ける?」
「ん、大丈夫」
心配してくれる雄大。
「花火…よかったね」
「ああ。よかったな」
緊張が高まる。
私たちは無言のままいつもの道を歩く。
暗くて雄大の顔が見えない。
だからきっと私の顔も見えていない。
………………。
そのまま私の家に着いた。
「…じゃあまた」
雄大が行こうとする。
「雄大!」
私は呼び止めた。
「なに?」
雄大が笑いながら振り返る。
多分、いつものあの優しい笑顔で。
「今日…は、ありがとう!!」
「こちらこそ」
雄大は歩き出すと手をひらひら振った。
自然と私の口元が緩んだ。
そんな気がした。