「治る…病気だったの。この耳」



ツンツンと左耳を突っつきながら俺に言う。



「手術する予定だった。お婆ちゃんが亡くなった二日後に」


「しなかったのか…?」


「うん。できない。大好きだったお婆ちゃんと同じ病気を治そうなんて思わなかったの。手術当日にさ『やめて』って大声で泣いた」



なんで…



手術しなかったんだよ…



治ることを…死んだ婆さんだって望んでるはずだろ?