都内なら車より電車の方が早いからって
蒼汰のマンションを出て
駅までの道のりをなんの躊躇いもなく手を繋いで歩いてくれる。

目深にかぶった帽子とマスク姿の蒼汰だけど、こんな風に手を繋いでくれる蒼汰の優しさが嬉しくて思わず握ってる手に力が入った。

そんな私に蒼汰は笑顔を向けてくれる。



日向の住む街は電車で20分くらいの場所。

人の多い電車の中で私をかばうように立つ蒼汰をまた少し好きになった‥



「もしもし日向?今駅に着いたんだけど‥」


住所は聞いていた日向の住むアパートだけど、実際に来るのは初めてで


駅からの道を教えてくれた日向との電話を切って、また歩き出す。


「場所わかった?」


「えっと‥駅を出てコンビニの所を右で‥少し歩いたら見えるって言われたんだけど〜~あっ、あれかな?」

そんな私達を日向が待っててくれて

「美空〜~久しぶり。元気だった?」

「元気だよ~日向も元気そうで良かったぁ。」

久しぶりに見た日向は何だか大人っぽくなってて、高校時代より更に綺麗になってた。

「じゃ部屋に行こう」

「うん。あっ、斗真は?」

「居るよ〜~部屋で美空が来るの首を長くして待ってる。」

「えぇ〜~斗真が?」

「そうだよ~。あっ、蒼汰さんにご挨拶してなかったね。でもとりあえず部屋で落ち着いたらにしよう。」

「そうだね。」