蒼汰の住むマンションまでの道のりはあっという間で、いざ部屋の近くに来ると緊張する。

そんな緊張が蒼汰に伝わったのか


「美空、そんなに緊張しなくても大丈夫だから。襲ったりしないし」


蒼汰はそう言って笑った。


「そっ、そんなことわかってるし。」

「へぇ〜~美空、今物凄くホッとした顔してるけど?」

「そんな事ありません。」


だって‥蒼汰はそんな人じゃないから。


蒼汰の部屋は私が一人暮らししてる部屋とは比べ物にならないくらい広くて‥って当然か。
黒で統一された部屋は、私の部屋よりも綺麗に整頓されてた。


「美空、ソファーに座ってて。」

「うん。お邪魔しま〜す。」

テーブルの上には台本?と思われるものが何冊か重ねられてて、蒼汰はやっぱり蒼なんだなぁ〜なんて改めて思ってしまう。


「普段は寝に帰ってきてるだけだから何もなくてごめんな。コーヒーいれるけど飲める?」

「うん。ありがとう。」

「どこかで買い物とかしてくれば良かったな‥」

「ホントだね~思いつかなかった。」

「後でコンビニにでも行こうな。」

「そうだね。あっ、でも食料品買えるところがいいかな?夕飯、嫌じゃなかったら私が作るよ~」

「マジ?じゃあとりあえずひと休みしたら出かけるか。」