「ねぇ〜ヒロト」

「ん?何?」

それは聞き覚えのある名前と声。

案内された席から少し離れた場所から聞こえてくる。
私からは姿は見えないけど、間違えたりはしていないと思う。

「美空ちゃん?どうかした?」

「何でもないよ‥」

「そう?」

「うん。それより大地くん何か頼もうよ」

「そうだね。じゃ俺はカフェオレ」

「私は‥ミルクティーにしようかな。」

イヤでも拾ってしまうヒロトの声。
でも‥私は絶対に振り向かない。

もう過去は振り向かないと決めたから。


「‥ちゃん?」

「あっ、ゴメン。何?」

大地くんに呼ばれた声で我に返った。

「俺さ‥美空ちゃんが好き」

「えっ?」

あまりの突然な大地くんの言葉に本気でビックリして‥

「ホントはもっと場所考えて言いたかったんだけどね。あっ、でもすぐに返事くれなくていいから。」

「うん‥。」