神城くんが座ったら先生が号令をかけて、一時間目を自由時間にしてさっさと退室してしまった。

｢崎守、なにさん？｣

いきなり声を隣から掛けられ少し吃驚してしまった。

｢さ、崎守癒乃です……｣

｢癒乃ちゃんか、可愛い名前だね｣

ふにゃりと笑う彼は綺麗な容姿とは裏腹にかわいかった。

｢あ～、駄目よこの子彼氏居るんだから｣

横から凜ちゃんがひょこっと顔を出した。

｢……へ～｣

？

｢ま、あいつはどういうつもりか知らないけどね｣

嫌味をこぼす凜ちゃん。
その目線の先には女の子達に囲まれて楽しそうに話している祐也くんの姿。
こちらを気にしている女子も居るようですが、話し掛けずらそう。

｢……変わった目の色ですよね｣

話題を逸らすように口にしてしまったのは彼の紫の瞳の事。

｢あ、父親が外国人だからね。気味悪いよね？｣

少し、悲しそうな顔にさせてしまった事を申し訳なく思い、言い訳ではなく本心を口にした。

｢いえ、アメジストのような綺麗な瞳だと思っただけですよ。気にしている事を話題にしてしまい申し訳ありませんでした｣

｢……ありがとう｣