ブー…ブー…ブー… 暗闇を照らすディスプレイの明かり。 雫は枕元を手で手繰る。 そしてスマホを手に取り、よく発信元を見ずに通話にスライドする。 「もしもし。雫か。」 雫は半分寝ていた意識を覚醒させた。 「…お…とう…さん?」 「あぁ。いま母さんとそっちに向かってる。空港に着いたらまた連絡する。」 ツー…ツー…ツー… 放心状態で通話終了ボタンが押せないままディスプレイが暗くなった。