「・・・!?つめたっ!!」



温かい手は反射的にビクッと引いた。


今は休み時間。


一通りの自己紹介を済まし、


これから明日からの流れを確認したら、解散だ。




「へへへ。でしょ?風上さんの手、あったかいね。人柄を表してる。」


風上 天音。二人はたまたま席が隣同士で仲良くなった。雫とは正反対のタイプ。おしとやかで、可憐で清楚。人形のような顔と、小さな身長。そして文武両道。絵に描いたような優等生。



「それ、逆じゃないかしら?よく“手が冷たいと、心は温かい”と言いますよ?」



優しく雫の手をさする。小さな両手で一生懸命包み込もうとしている。



それを男子たちは羨ましそうに見る。



雫は少し優越感を感じながら、「あー、でもそんなの、嘘だよ。」と返した。


それを聞いた天音はキョトンとした顔で、


「では、雨宮さんは“冷たい人”なのですか?」



“冷たい人”



雫はガタンっと立ち上がった。




「そっか、そういうことか・・・。」


そう呟いて。