雫は口を指でくわえながら、


「はんほうこう、ほってひゃいんで、ほらってひまふっ!」

訳)絆創膏持ってないんで貰ってきます

と教室を出て行った。

雫の笑顔を初めて見た凌はドクンドクンとせわしなく動く心臓に疑問を抱きながら、残ったプリントを配り終わらせた。


雫は廊下をパタパタ走りながら思った。

“せっかく気を使ってくれたのに、自分が逃げるなんて。情けない”

“あって間もない人に期待している自分に笑えた。”

“始まる前から言うのもアレだけど、どうせ三年のお付き合いだから、期待したって意味ないよ。”と。



あっという間に保健室に着いた気がした。