12月×日 Tuesday
僕は今日恋をした。
だんだんと寒くなってきたこの時期に
マフラーも手袋もしていない女の子。
お鼻のてっぺんを真っ赤にしながら
花のように笑ってた。
視線の先をたどると段ボールのなかには
子猫いた。
そのそばにはマフラーと手袋。
彼女があげたものだと僕は思った。
本とかではそういうシチュエーションは
よくみるけど、まさかほんとにやる
心優しい人がいるとは思っていなかった。
だからだろうか。胸がキューっとなって
泣きそうになった。
そして彼女は子猫に「家に連れて帰って
あげられなくてごめんね」といい去って
いった。僕の存在には気づかぬままで…。
僕の胸には、速い鼓動だけが残っていた。
これは恋だと僕は気づいた。