すると、ティセラさんは、条件を言い始めた。
「一つ、ゲーム界に入れば、次に出られるのはクリアした時。
二つ、感じる痛みは本物。死んだ場合、人間界に戻る。
三つ、一度ゲーム界から出たら、二度とゲーム界には入れない。
四つ、ゲーム界の者に、自分の正体を明かさない。
五つ、もしも明かしたとするならば、無断侵入と同じ罪を受けて もらう。全ての記憶を失い、ゲーム界の人間となること。」
「…。」
「この五つの条件を受け入れるのであれば、ゲーム界への侵入を許可する。」
正直言うと、今の条件は全く理解出来ていない。
でも、お父さんに会えればそれでいい。
なんの迷いもなく、私はティセラさんに答えた。
ティセラさんの瞳をまっすぐ見つめて、はっきりと。
「受け入れます。」
ティセラさんは、静かにうなずいた。
そして、最後に…と、言葉を発した。
「ゲーム界では、あなたは、シールド使いシャリアよ。」
「シ、シールド使い、シャリア…?」
これは、私がゲームを始める際に、入力したもの。
ゲームを進めるうえで、必要なことでも無いのに、どうしてこんなことを入力するのだろうと思っていた。
でも、今は理解した。
このためだったんだ。
「あなたがゲーム界にいる間、人間界の時間は止まる。」
私は静かにうなずいた。
すると、ティセラさんの瞳が、いきなり変わった。
今までとは全く違う、真剣そのものな瞳だった。
私も、つい力が入ってしまう。
「私の名はティセラ!これより、人間をゲーム界に入れる事を許可する!」
「…ッ!?」
ティセラさんは、両手を大きく広げ、高らかに叫んだ。
すると!
その広げた両手から、たくさんの光が溢れてきた。
眩しくて、思わず目をつぶる。
すると、いつの間にか、静かな眠りについていた…。