…やっと、会えた。

やっと会えたね。お父さん。

辛かった。苦しかった。

早くこんな世界なんて抜け出したかった。

それでも、なんとかやってこれたのは、全てこの時のため。

お父さんに、会うためだったんだ。

あの小さい頃の記憶を見て、思い出したんだ。

お父さんの顔を。

その顔はピッタリシャドウさんと一致していた。

今まで、この世界での生活を続けてきて良かった。

私は、もうこれで人間界に帰れるよ。


…その時だった。

「…理亜…。」

今、確かに、私の名前を呼んだのだ。

シャドウさんが。

しかも、人間界の名前を。

「ど、どうしたんですか?」

私は、こう聞くことしか出来ない。

でも、シャドウさんの、いや、お父さんの言葉は続いた。

「理亜。理亜なんだろ!本当の事を言ってくれ…。」

「…え?」

「おれもあの時、昔の記憶を思い出したんだ。ずっと会いたかった人、それは君だったんだと、初めて分かった瞬間だった。」

「…。」

そうか、やっぱりあのとき。

シャドウさんが私と同じように、驚いているような目をしていたのは、私と同じものを見ていたからなんだ。

…でも、私は、いつかのティセラさん言葉を思い出してしまった。