「いえ、よく分かりましたし勉強になりました。
私もジョギングとかしてみようかしら?」

 そうしたら課長ともう少し距離が近づけるだろうか?
 そばに居る理由が見つかるだろうか。

「あぁ、してみるといい。
いい運動になるぞ?ただ……」

「ただ……?」

「方向が違うから残念だ。近くなら一緒にやれるのだが……」

 残念そうに課長は、そう言ってきた。
確かに……そうだわ!!
 もし近かったら一緒に出来たのに……。

「はい…とても残念です。ですが
もし何かいいトレーニング方法があったら教えて下さい」

「あぁ、君にでも出来そうなのを探しておくよ!」

 自分からお願いをしてみた。図々しいかも知れないけど……。
 するとクスッと笑いかけてくれた。
 何だか前より課長の表情が柔らかくなっているように
見えたのは、気のせいだろうか?

そんな風に思ってしまった。
 それから食事を済ませると自宅近くまで送ってもらった。

「今日は、ありがとうございました。
とても楽しかったです」

「こちらこそ……それじゃあ」

「あ、あの……課長」

 課長は、帰ろうとするので私は、思わず
呼び止めてしまった。
ハッとした時は、すでに言った後だった。

「うん?何だ?」

「あ、いえ…何でもありません。
気をつけて帰って下さい」