私はタクシーを止めて、
前に住んでいたマンションへと向かう。
その間、
携帯で何度も今日の日付を確認した。
マンションが近付くと、
手が冷たくなって、落ち着かない。
私は左手首の傷痕をギュッと握り締めて、
大きく深呼吸をした。
大丈夫。
絶対シュウは来るから。
私が階段を上がったら、
いつかの時のように、シュウが部屋の前で待っているんだ。
そしてシュウは言うんだ。
゛倫子さん、中から人の声がするけど友達でも来てるの?゛
って……。
前と何一つ変わらない優しい笑顔で
そして、タクシーはマンションの前に着いた。