ホテルに着き、ロビーで少し待つと、早川さんと早川さんの両親が入って来た。


早川さんはすぐに私を見付け、お互いの両親が軽く挨拶を交わすと、
レストランに向かいながら、緊迫感漂う空気の中で、父親はいきなり立ち止まり、深く頭を下げて言った。



「倫子はまだまだ出来が悪いと思いますが、宜しくお願いします」



一瞬の沈黙の後、早川さんのお父さんが笑顔でそれに答えた。



「いえいえ、うちの和幸もまだまだです。神田さん、頭を上げて下さい。これから身内になるんですし、軽い感じで行きましょう」