「じゃあ、俺の所に引っ越してくればいいよ」



早川さんが笑顔で言った。



「…引っ越し?」


「うん」



あそこを出るって事は、
シュウとの思い出を全部捨てるって事だよね?


結婚ってそういう事なんだ…。


でも、まだ出来ないよ



「うちの親、結構厳しいし…。籍を入れた日からじゃ遅いですか…?」


「…それでもいいよ。倫子のご両親にも挨拶に行かないとな」


「連絡…しときますね」



早川さんはいつものように優しく笑うと、私の手を強く握った。




それでも何故か寂しかったんだ。