「っーー酷い!!

酷いよ千麻ちゃぁん!!何でまたそんな誘惑的な愛くるしい感じに拒絶しちゃうわけ!?

逆にめっちゃ欲情しちゃったじゃん!!なのに・・・

ーーーーーーー出直し!?」


「・・・・・出直し」


「ううっ・・・わかんない。俺なんかしたぁ?」



いや・・・、してないです。


いや、・・・してます。


すみません。


いや本当にこの瞬間は私が酷いと認めますよ。


ただ・・・、私も私自身に酷く驚きなんですが。


心で彼へ謝罪を繰り返し、再び確かめるように彼を振り返って見上げた。


そして・・・、


ああ、また動悸・・・・・・・欲情。


そう、決して行為に怯えたとかでなく、彼の存在に怯えての拒絶じゃないのだ。


むしろ・・・変に欲情した自分に怯んでの待った。




「千麻ちゃん・・・俺本当に何かしたかなぁ?」


「い、いえ・・・何ていうか・・・特には・・・」


「ええ~、何でぇ?!じゃあ、何でダメ!?」



言えない。


言いたくない。


平常を保てない程興奮したなんて。


フードに、


手袋に、



・・・・・・犯罪者チックな姿のあなたに。



一瞬、脳裏に浮かんだ犯罪者の印象に、少し危険な妄想に呑まれて溺れそうになった。


ヤバい・・・・、


犯罪者スタイルの彼に犯されてるような感覚にちょっと興奮したとか絶対に言えない。


自分の中でもかなりの羞恥を感じるその事実を固く心の内に仕舞い込んで鍵をかける。


その間にも見事ベッドの上でへこむ彼の後ろ姿にさすがに罪悪感。


ああ、まずい。


どうするべきか?


不貞腐れるを通り越しての姿に体を起こして乱れた髪を直しながら見つめて思案。


慰めるようにキスをする?


いや、それは逆効果だと実証済みで、そのせいで今の事態を招いた気もする。


かといって、体を許すような余裕は今は無くて・・・・。


真剣に思案して1分くらいだろうか。


頭で思案した中では一番良案かと、スッと彼の背後にベッドの上を這うように近づくと肩を叩く。


一瞬無視でもされたらどうしようかと懸念したけれど、ゆっくりと振り返り何とも言えない表情を見せる彼。


いや、うん・・・。


すみません。



「ぬ、・・抜くの手伝いましょうか?」



そう言って両手を広げてやる気を示すと、眉根を寄せた彼の不愉快な声の響き。



「千麻ちゃん・・・・俺をからかってる?」


「いや・・・至って本気で・・・・」


「今まさに俺とのエッチ拒むほど怖かったわけでしょ?!それなのに『やった~、してして』とか言うほど俺ダメな奴じゃないし!」



あっ、なんか心が痛む。