あっ・・・なんか似たような事があった。


引き寄せた瞬間にそんな事を感じて、でもすぐに記憶とは違う位置に唇を当てた。


そう・・・・、


あの時は・・・唇の端。


でも今感じているのはもっと柔らかく熱い・・・。



「・・・・んっ・・千麻ちゃ・・・・」



重なった瞬間はどうやら驚きで不動だったらしい彼が、ようやく意識を取り戻したのか声を漏らして。


それを合図にゆっくり唇を離せば、心底驚愕し、そして見事紅潮している彼の顔。


あっ、デジャブ。


あの時も彼はこんな顔をしていたと思い出しクスリと笑うと声を響かせた。



「・・・・・努力賞です」


「・・・・・ま、前髪?」


「・・・・・拙い魔法に・・・で、しょうか」



拙くても効果は絶大の。


今も尚持続して自分からキスしてしまったくらいの。


だって・・・・あの指輪は狡い。


でも、前進した。


その結果に満足して口元に小さく弧を描いて指先で触れていれば。



「・・・・あの時みたいだ」


「・・・・えっ?」


「・・・・っ・・・・・・・・・・反則だってぇ・・・」


「はっ?」


「んーーーーーー、っ・・ごめん。・・・スタイルに従順になりそう」


「ちょっ・・はっ?」




何を言っているのか?


そう聞き返そうとした瞬間には再度塞がれた唇と抱きかかえられた体。


でも驚く間もなく、浮遊していたのもほぼ一瞬。


すぐに勢いのまま背中にベッドの感触を得て、跳ね起きる前に覆いかぶされ縫い付けられる。


これは・・・・冗談じゃなく・・・。


襲われている・・・・。


しかも恰好を見れば確実なる犯罪者。


従順ってこういう事か!?


と、熱っぽいキスを受けながら彼の言葉を理解して、すぐに拒むようにその胸を押し返しながら唇を離した。



「何暴走してるんですか?!」


「ごめんなさい。すみません。申し訳ない。だから・・・とにかくやらせて」


「犯罪者!」


「無理。すべては君が可愛すぎるのが悪いんだよハニー」


「無茶苦茶な責任転嫁してこないでください!!完全にストーカーの言い分!!」


「ごめん・・・・マジに・・限界」




確かに。


フードから覗くグリーンアイの懇願やこの暴走と言える行動でよく理解する。


それに当然だとも思う。