次の瞬間には。
部屋に響く・・・・・彼女の悲痛な細い細い泣き声と叫び。
耳に一生残りそうな・・・・・、
違う・・・・残ってる。
「いやっ・・・・いやぁぁぁぁぁーーーーーーー」
「・・・っ・・」
「嫌っ・・・・嫌だっ・・・戻してっーーー返してぇーーーー」
「・・っ・・・千麻ちゃーーー」
思わず彼女に近づいて、
泣き崩れてベッドの上で蹲った姿に触れようとした。
『泣かないで、』
そんな・・・・
『壊れるように泣かないで・・・・』
今更、
愛情深く手を伸ばして・・・。
そして・・・・、
叶わぬ・・・、
絡まぬ・・・、
プツリと音もなく切れた。
彼女の傷を労わり癒すつもりで伸ばした手に、瞬時にビクリと反応した彼女が嫌悪の眼差しでその身を引いて壁に寄る。
それ以上は下がれないというのに背中で張り付いて、今にも俺が近づくんじゃないかと全力で怯えて見せて。
そんな必死の拒絶に見事不動。
「・・・・・・千麻ちゃん?」
「・・・・・・・・・触らないで・・・」
「・・っ・・・ねぇ、・・・何で・・・」
言いながら一歩踏み出した瞬間に、彼女の悲鳴にも似た響き。
耳が・・・・・・痛い。
「いやぁぁぁ!!来ないで!!触らないで!!・・・・っうう・・・・・・、」
「千麻ちゃ・・なん・・・で?」
初めて向けられた目。
心底畏怖して、
最大限に全身で警戒して。
涙を流した目で威嚇する様は・・・・・
手負いの獣。
そう・・・感じる。
「私が・・・・・あなたの子供を堕ろすって・・・・」
「・・・・違う・・・」
「私を疑った!!・・・一瞬でも・・・・」
「っ・・ちがっ・・違う・・・違う・・・」
「疑ったーーー・・・・私が・・・・愛してた・・・気持ちを、」
「っーーー千麻ちゃんっ、」
彼女の言葉の刃の痛みに耐え切れなくなって、強引にもその身を寄せようと一歩を踏み出して。
でも、
得たのは更に鋭利でジワリと染み込む毒の言葉。
「っーーいやぁぁぁ!!」
「千麻ちゃんっ!」
「やっ・・いやぁぁ!!私を・・・・拒絶したあなたには触られたくない!!」
「・・っ・・千麻ちゃん、違うっ・・聞いてーー」
「いやっ・・・いやぁっ・・・、来ないで、見ないでっ!!
っ・・・私に・・・・・触らないでぇーーーーー」
彼女の言葉に首を横に振って手を伸ばせば、今にも殺されるかの様な悲鳴を上げ・・・・・・・蹲って吐いた。
全力の・・・・・拒絶。