「冗談です」
「・・・・きついぜハニー・・、センチメンタルでガラスのハートが粉々寸前だったよ・・・・」
「センチメンタル?・・・・・・・らしくもなく・・事後の関係に酔いしれてます?」
「・・・・何?【らしくなく】って・・・」
「・・・・・・いえ、今まででしたら関係した女性との時間を恥ずかしげも情もなく、一感想として私にぼやいておりましたから」
「・・・・・・・はい、否定できません」
確かに・・・、彼女には関係を持った女の子達との時間の不満なんかを一方的にぼやいていたと自負します。
言われたことに気まずく苦笑いを浮かべると、更に追いやるように彼女の意地悪。
「・・・私にとのそれにもぼやくことおありなら聞き入れますが?あなたなりに【いつも通り】不満もおありでしょう?」
「・・・・・意地が悪い」
「普段の行いのせいでは?」
嫌味交じりの言葉に非難するように眉根を寄せれば、どこか楽しげに締めの言葉で俺を封じる。
そして楽しげに口の端を上げると、俺の手からグラスを抜き取り中身を煽った。
いつもと同じような時間。
でも激しく違うような気もする。
「・・・・・・千麻ちゃんは・・・動じないんだね」
「・・・・何に?」
「・・・いや、・・ほら・・・もう理性吹っ飛んでめちゃくちゃにしちゃったわけじゃん?・・・・俺っていう上司と」
そう言いながら自分を指さし僅かに緊張。
彼女が関係したことをどう思っているのか、その答えが知りたかったわけだけども答えによっては傷つくかもしれないと懸念。
一瞬思考するように視線泳がせた彼女がゆっくりグラスにそれを動かしていくと、ポツリ・・・。
「このグラスと同様・・・」
「・・・・・はっ?」
予想外、想定外の答えに一瞬間が空いてから疑問の響き。
全く意図の組めない返答に困惑すると、グラスの中身を飲み乾した彼女が俺に体ごと向きを変えた。
「・・・・共有です。・・・快楽の」
「・・・共有?」
「お互いに利害が一致して、求めるものが一緒で、それを成すために時間を共有した。・・・それだけです。・・・このグラス同様、その瞬間同じ欲求を満たすために使用した、」
ああ、確かにわかりやすい。
分かりやすいよ?
でも・・・・、予想以上に傷つく答えだね。
まるで・・・快楽を得たいためだけに俺と寝たような。