いつまで続くかと思った沈黙の間にお互いに上がった呼吸が小さく響く。
それでも、沈黙を破ったのは、、
「・・・・ダーリン」
「・・っ・・・ごめんっ・・・本っ当に・・・真面目に避妊しなくてすみません」
非難するような声の響きにとっさに平謝りのような言葉を綴れば、スッと伸びて俺の両頬を包んだ彼女の手が、グイッと上に持ち上げ強制的に視線を上げさせられた。
絡む真顔の視線に本気で怯んで、誤魔化すような苦笑い。
「・・・・まず、・・人と話すときは視線を合わす」
「・・は、はい」
「それから・・・・開口一番に謝罪した内容に関しては10%にかかるような日ではないので問題はございません」
「あ・・・・そ、それは・・朗報?悲報?」
「現時点では朗報以外の何物でもないのでは?」
「・・・っ・・はい、調子に乗ってすみません」
「まぁ・・・避妊云々は現状私の中では微々たる問題なんです」
「・・・・はっ?・・・えっ?そうなの?」
じゃあ、何でそんな不愉快そうな顔?
と表情にも出していたのか、俺の顔を見るなり更に眉根を寄せた彼女に笑って誤魔化せ。
でも何が問題なのかと気まずい空気の中思考を巡らせていれば。
「・・・・・足りない」
「・・・・・はっ?」
「言ったでしょう?欲求不満なんです」
「・・・・・・・」
「性欲・・・・・強いんですって・・・、私」
「・・っ・・・、マジ?」
「【マジ】です」
彼女なりの冗談なのかと不自然な笑みで確認を入れれば、まったく羞恥も躊躇いもなく返された返答に本気を垣間見た。
ここまでの時間、決して浅い行為ではなかった筈。
俺が上であった時から、むしろ始まりから結構濃密で激しく行為に及んでいた筈なのに・・・。
マジか?
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・ダーリー・・・ン?」
「ーーーーーーっ、大丈夫っ!行ける、俺若いし!もう1回くらいはーー」
「・・・・1回?」
「・・・えっ?」
思わず押し黙って不動になっていれば、痺れを切らせたのか目を細めた彼女の非難する眼差しと唇にトンと触れた人差し指。
それに焦って反応を返せば、さらなる貪欲さに打ち負かされる。
『1回?』って疑問文って事はさ・・・事はさ・・・。
「に・・・2回?」
怯んだ口元ばかりの笑みでピースサインのように回数を提示してみると、にっこり口元に弧を描いた彼女が同じようにその手で示す。
でも、俺のそれより1本多く。