その答えを探るように無防備な凄艶さを見せる彼女を見つめ。
頬に触れていた指先を滑らせると艶やかな唇に触れる。
言ってくれないか。と、
淡い期待をかけて触れてその僅かに開いた割れ目をなぞれば、ゾクリとするような赤い舌を覗かせ俺の指を舐めると軽く歯を立てる。
決して痛くない、甘えてじゃれる様な。
そして長い睫の下に伏せられていた目が俺をまっすぐに見つめて、触れていた唇から声が響く。
「ねぇ・・・・、私、こうやって見下ろすあなたが結構好き」
馬鹿だな俺。
決して望んだそれじゃないのに。
その言葉の中に【好き】だと組み込まれただけで今は歓喜する。
そう小さくでもいい。
少しづつでもいい。
彼女が俺を好きな要素が増えて増えて、
いつか困ればいいと思ってる。
自分の課した契約に苦しんで困って俺に縋ればいいって。
・・・・・・でも、違う。
縋るのは彼女らしくない。
嫌味交えた狡い方法でいいから、
俺を本気で愛してよ。
「・・・・ねぇ、動いて・・・千麻・・・」
「・・・・・・・ご要望であれば聞きましょうとも・・・」
彼女【らしい】、意地の悪い仕事のような口調に少しばかり本気で痛み映す苦笑い。
ねぇ、だったら・・・、これもあり?
「・・・・・・これは・・・命令、」
「・・・はい、」
千麻ちゃんが・・・あくまでこの関係に【仕事関係】や【契約】を持ち出すのであれば・・・・。
俺も利用するよ?
「俺と抱き合うこの一瞬は・・・・、名前で呼んで。
・・・・・・・一瞬だけでいいから俺を愛してよ・・・」
馬鹿な・・・・要求。
それをしたら・・・、
ますます彼女の本気の言葉なんて見えずらくなるのに。
ああ、でも、
彼女が本気で俺を愛してるなんて言う日が来る筈もないか?
俺の要求を静かにその目を揺らして見つめていた彼女が、スッとゆっくり体を折り曲げると俺の唇に口づける。
吸い付くように重なった感触に従順に反応して啄んで求める。
そのままずっと交わしていたかった感触を切り上げたのは彼女の方。